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福利厚生

ユニークな福利厚生|大企業の事例を真似る前に

2026.09.14 公開 | 監修:添田拓海(B2B推進部グループ長 / 福利厚生アドバイザー)

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ユニークな福利厚生の事例は、探せばいくらでも見つかります。50選、60選といったまとめ記事がいくつも並んでいます。

ただ、そのまま自社に持ち込んでも、同じようには使われません。 昼寝制度や社食の無料提供、マッサージルームの常設といった話題の制度は、その多くが大企業のものです。従業員数も予算も運用体制も違うため、前提から噛み合いません。

事例を集めるほどかえって選べなくなり、そこで手が止まってしまいます。そうしたご相談をよくいただきます。

原因は事例の集め方ではなく、福利厚生をめぐる3つの思い込みにあります。この記事ではその3つを順に整理し、外したあとに残る条件をご説明します。

ユニークな福利厚生に、よくある3つの思い込み

先に結論を並べておきます。

思い込み

実際

珍しい制度ほど喜ばれる

珍しさと定着は別。使える人が限られると不満に変わる

大企業の事例は、規模を小さくすれば真似できる

費用は縮小できるが、運用の手間は縮小できない

制度は多いほど手厚い

手間は制度の数だけ積み上がる。増やすほど1つあたりが雑になる

どれも自然な考え方です。制度を紹介する記事が「面白さ」と「数」を軸に並べているため、そう受け取るのが普通だと思います。

順に見ていきます。

思い込み①:珍しい制度ほど喜ばれる

話題性の高い制度ほど、実は使える人が限られます。

推し活休暇やペット同伴出勤、趣味の手当といった制度は、刺さる人には強く刺さりますが、使わない人ははっきり分かれます。特定の層だけが得をする形になると、使わない側から不満が出ます。 役員を除く雇用者のうち、非正規の職員・従業員は36.5%です。正社員を前提にした制度を選ぶと、3人に1人が最初から対象外になります。

制度そのものが悪いのではありません。対象が狭い制度を「社員全員のための福利厚生」として打ち出すと、期待と実態がずれるという構造の問題です。

私たちがご説明の場でよく申し上げるのは、全従業員に平等に還元される形であれば、社内の摩擦は起きにくくなるという点です。誰かが損をする構造にならないためです。実際、この点をご説明すると導入に進まれる企業様が多くあります。

珍しさは入口の関心を集めるには効きますが、そこから定着するかどうかはまったく別の話になります。

思い込み②:大企業の事例は、規模を小さくすれば真似できる

予算を10分の1にすれば、10分の1の規模でも回る。そう考えたくなりますが、ここが最もつまずきやすいところです。

費用は縮小できますが、運用の手間は縮小できません。

代表的な制度を、この2軸で並べ直すとこうなります。

制度

費用は縮小できるか

運用の手間は縮小できるか

書籍購入補助

できる(上限額で調整)

できる(申請と精算のみ)

資格取得・受験料の補助

できる(対象資格を絞る)

できる

昼食補助・置き型の社食

できる(品目を減らす)

できない(設置スペースと在庫・賞味期限の管理は規模に関係なく発生する)

社内イベント・部活動支援

できる(回数を減らす)

できない(幹事役が必要。抜けると止まる)

ペット同伴出勤

費用はほぼかからない

できない(アレルギーへの配慮と運用ルールの整備が必要)

誕生日休暇・記念日休暇

追加費用なし

できる(就業規則の変更のみ)

優待型のサービス

企業側の負担なしの形もある

できる(企業様側での在庫管理は発生しない)

手間が縮小できない制度は、人数が少ないほど重くなります。 中小企業では総務が他業務と兼務していることが多く、担当者1人あたりの負荷が直接効くためです。

大企業では専任の担当者が付くため、同じ制度に見えても、それを支える体制がまったく違います。

思い込み③:制度は多いほど手厚い

制度の数は、そのまま手厚さにはなりません。

運用の手間は制度の数だけ積み上がります。 毎月の申請を受け付け、利用状況を集計し、社内へ周知する。制度が1つ増えるたびにこれらが重なり、増やすほど1つあたりの管理は雑になります。

そして管理が雑になった制度から、順に使われなくなります。導入時に告知したきりで、その後は社内の誰も触れていない。そういう制度を抱えている会社は少なくありません。

数を追うと、結果として使われる制度の数はかえって減ります。

3つを外すと、残る条件は2つだけ

思い込みを裏返すと、判断は驚くほど単純になります。

  1. 使える人が偏らないこと(思い込み①の裏返し)

  2. 運用の手間が増え続けないこと(思い込み②③の裏返し)

費用の大小は、この2つの後に考えれば足ります。逆に言えば、この2つを満たさない制度は、いくら安くても残りません。

費用を詰める段階では、その制度が給与として課税されるかどうかも合わせて確認しておくと、稟議に入ってからの差し戻しを避けられます。判定の手順は福利厚生は課税される?非課税の条件と0円導入の考え方にまとめています。

2つの条件を満たす制度の例

この2つを満たす制度は、それほど多くありません。よく挙がるものを条件に当てはめると、次のあたりが残ります。

  • 誕生日休暇・記念日休暇:雇用形態を問わず対象にでき、就業規則の変更だけで始められます

  • 慶弔見舞金:支給の基準を決めておけば、毎月の手間は発生しません

  • オンラインで完結する学習支援:勤務地に左右されず、スキルアップの機会を全員に開けます

  • 健康診断のオプション補助:受けたい人が受けたいときに使う形にすれば、利用状況の管理が要りません

  • 優待型のサービス:使われた分だけで完結するため、利用のない月に費用が出ません

逆に、社食やドリンクの設置、社内イベント、リフレッシュルームの整備は、条件の2つ目で落ちます。制度として悪いのではなく、支える人がいる規模でないと続かないためです。

コミュニケーションの促進やワークライフバランスの改善を狙う制度も、目的そのものは間違っていません。ただ、幹事役や運用担当が必要な形になっていないかは、先に確認してください。

このうち優待型のサービスについて、私たちが運営している「SBC Wellness」を例にご説明します。

企業様の導入費用・月額費用は0円です。 従業員の皆さまは、美容医療や審美歯科のほか、卵子凍結、視力矯正治療などのメニューを10%OFFの優待価格で利用でき、施術費用はご本人の負担になります。

2つの条件に当てはめると、こうなります。

  • 使える人が偏らないか:対象はさまざまな雇用形態の方です。全国160院以上のネットワークがあり、41都道府県に展開しています

  • 運用の手間が増えないか:企業様側での在庫管理や設置スペースの確保は発生しません。年間の最低利用人数といった制限もないため、利用状況の管理も不要です

実際に使われているメニュー

導入前に気になるのは、本当に使われるのかという点だと思います。私たちの提供実績からお伝えします。

最も多いのはIPL光治療で、スキンケア系のメニューが全体を牽引しています。このほか、ハイフやICLといったメニューにも一定のご利用があります。

髭の治療は月に数件、外科的な施術は少数です。美容医療というと女性向けに見えますが、男性の方にもお使いいただいています。

ご導入いただいているのは、中小規模で女性の比率が高い会社が中心です。アルバイトの方も使えるため、スーパーやカラオケなど多店舗の業態でも喜ばれています。

なお、導入を決めるのは人事・総務のご担当者が最も多くなっています。会社によっては給与厚生課や、経営者ご本人が決めるケースもあります。決裁のラインを先に確認しておくと、比較検討を終えてから差し戻しになることを避けられます。

▶ 関連記事:中小企業の福利厚生|自社の従業員構成から選ぶ

まとめ

ユニークな福利厚生の事例が役に立たないわけではありません。そのまま持ち込めない理由を先に知っておけば、事例の読み方が変わります。

珍しさは入口にすぎず、費用より手間が壁になり、数を増やすほど1つあたりは雑になる。この3つを踏まえたうえで事例を見ると、自社で回るものが絞り込めます。

珍しい制度は求人票で目を引きますが、入社後に使えないと分かれば逆に働きます。定着率の向上まで含めて考えると、選ぶ基準は自然に絞られます。

SBC Wellnessの仕組みと導入の流れは、資料でご確認いただけます。資料をダウンロードする

出典

補足

  • 非正規雇用の割合は労働力調査(総務省統計局)2025年平均の数値です

  • 「2つの条件を満たす制度の例」の分類は本記事独自の整理です

  • 制度名と、費用・手間の縮小可否の整理は本記事独自のものです。一般に紹介されている制度から名称を整理しています

  • 利用メニュー、導入の決裁者、ご導入企業の傾向に関する記述は、SBC Wellnessの提供実績にもとづくものです(2026年7月時点)

  • クリニック数は2026年5月時点の数値です

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監修者

添田拓海

B2B推進部グループ長 / 福利厚生アドバイザー / SBCメディカルグループ株式会社

2021年筑波大学卒業。医療現場での実務経験を活かし、業務プロセス改革(BPR)を主導して組織の生産性向上に貢献。グループでは最年少でマネージャーに昇格する。現在は、ウェルビーイング領域を担う「SBCWellness」のサービス担当部署において、300社を超える導入企業の現場の声に基づいたサービス改善に注力。若手リーダーとしての組織改革にも取り組みながら、企業のウェルビーイング実現を支援している。