中小企業の福利厚生|自社の従業員構成から選ぶ
2026.09.12 公開 | 監修:添田拓海(B2B推進部グループ長 / 福利厚生アドバイザー)

福利厚生にかける費用の国内平均は、従業員1人あたり月5,000円前後です。厚生労働省の調査では、常用労働者1人あたりの法定外福利費は月平均4,882円でした。健康保険や厚生年金といった法律で決まっている分は別で、これは会社が任意に用意している制度にかけている金額です。
予算感は分かった。ただ、その数千円で何を用意すればいいのかが決められない。そこで検討が止まっている企業様からのご相談をよくいただきます。
結論から言うと、答えは自社の従業員構成で変わります。 同じ予算でも、正社員が中心の会社と、パート・アルバイトが半数を超える会社では、効く制度がまったく違うためです。
制度が合えば、応募が集まりやすくなり、入った人が続きます。福利厚生のメリットは、この2つに集約されます。逆に合わないものを選ぶと、費用をかけても手応えが出ません。
この記事では従業員構成を3つのタイプに分け、それぞれで現実的な候補を整理します。最後に、どのタイプにも共通する条件もご説明します。
中小企業の福利厚生は、従業員構成で答えが変わる
まず前提を2つ押さえておきます。
費用は思ったほど高くありません。 国内平均は1人あたり月5,000円前後です。一方で導入の意欲は高く、帝国データバンクの2025年の調査では、中小企業の45.8%が法定外福利の導入に意欲的と回答しました。
そして、従業員の構成は会社によって大きく違います。 役員を除く雇用者のうち、非正規の職員・従業員の割合は全体で36.5%です。小売、飲食、サービスなど、パート・アルバイトが現場を支える業種ではさらに高くなります。
この差が、制度選びの分かれ目になります。全国平均だけを見て制度を決めると、自社では使われないものを選ぶことになります。
自社がどのタイプに近いかを、先に確認してください。
タイプ | 従業員構成の目安 |
|---|---|
タイプ1 | 正社員が中心(非正規が2割未満) |
タイプ2 | パート・アルバイトが半数を超える |
タイプ3 | 店舗や拠点が複数に分かれている |
タイプ2とタイプ3は重なることがあるため、どちらにも当てはまる場合は両方をご覧ください。
タイプ1:正社員が中心の会社
勤続を前提にした制度が機能するタイプです。長く働くほど得をする設計にしても、対象から漏れる人が少ないためです。
現実的な候補は次の3つです。
住宅手当・家賃補助:金額が分かりやすく、若手の定着に効きやすい
退職金・企業型DC:勤続年数に応じて積み上がるため、長期の定着と噛み合う
資格取得・受験料の補助:職種が揃っているぶん、対象資格を絞りやすい
注意点は、世帯構成で偏りが出ることです。 住宅手当は実家暮らしや持ち家の従業員には届きません。同じ給与でも受け取る額が変わるため、支給条件の設計が難しくなります。
正社員中心といっても全員が同じ状況ではない、という点は押さえておいてください。
タイプ2:パート・アルバイトが半数を超える会社
このタイプで最も起きやすいのが、制度が使われないという事態です。 タイプ1で挙げた3つは、いずれも勤続や職種を前提にしているためです。
使えない人が多数派になると、制度は「正社員だけが優遇されている」という受け止められ方に変わります。従業員のための施策のはずが、不満の元になります。
現実的な候補はこうなります。
慶弔見舞金・記念日ギフト:雇用形態を問わず対象にできる
誕生日休暇・記念日休暇:就業規則の変更だけで導入でき、追加の費用がかからない
短時間勤務でも使える優待型のサービス:利用時だけ費用が動くため、勤続に依存しない
判断の軸は、雇用形態で対象を分けない制度かどうかの1点に絞られます。ここを外すと、人数の多い側が使えない制度になってしまいます。
私たちがご相談をいただく中でも、パート・アルバイトを対象に含められるかは早い段階で確認されます。
タイプ3:店舗や拠点が分かれている会社
勤務地によって使える制度に差が出ることが、このタイプの課題です。
社員食堂も、提携店舗の食事補助も、本社やその近くで働く人が得をします。直行直帰の多い職種や、離れた店舗の従業員には届きません。
現実的な候補は、勤務地に依存しないものです。
全国で使えるサービスの優待:拠点による差が出ない
オンラインで完結する研修・学習支援:移動の負担がかからない
現金給付型の手当:地域差はあるものの、使える人は限定されない
避けたいのは、本社に設備を置く形の制度です。設置スペースの確保に加えて、在庫や賞味期限の管理が発生します。管理する人は本社にいるため、恩恵を受けない拠点の従業員にも負担が波及します。
拠点が増えるほど、この構造は重くなります。
どのタイプにも共通する条件
3つのタイプを並べると、共通する条件が2つ見えてきます。
1つ目は、使われない月に費用が出ないことです。 人数分の月額が固定で発生する形だと、利用が少ない月も払い続けることになります。従業員数が多い業態ほど積み上がります。
2つ目は、運用が誰かの手間にならないことです。 中小企業では総務が他業務と兼務していることが多く、毎月の申請・集計・在庫管理が増える制度は続きません。
この2つを満たしながら全従業員を対象にできる形として、優待型のサービスがあります。私たちが運営している「SBC Wellness」も、この形をとっています。SBCメディカルグループが提供しているサービスです。
企業様の導入費用・月額費用は0円です。 従業員の皆さまは、美容医療・審美歯科・生殖医療のメニューを10%OFFの優待価格で利用でき、施術費用はご本人の負担になります。卵子凍結や視力矯正治療なども対象に含まれます。
3つのタイプに当てはめると、こうなります。
タイプ | 当てはまり方 |
|---|---|
タイプ1 | 正社員に加えて、将来的に非正規を採用しても対象範囲を変えずに済む |
タイプ2 | さまざまな雇用形態の方が対象。雇用形態で線を引かずに済む |
タイプ3 | 全国160院以上・41都道府県に展開。拠点が分かれていても導入の手続きは一本化できる |
年間の最低利用人数といった制限は設けていないため、利用がない月に費用が発生することもありません。企業様側での在庫管理や設置スペースの確保も不要です。
導入の例をお伝えします。サービス開始から約1年半で、ご導入企業は300社以上になりました。アルバイトの方も使えるため、スーパーやカラオケのような多店舗業態の企業様にも多くご導入いただいています。
導入の手間も軽い部類です。企業様に費用が発生しないため、多くの会社では稟議が不要で、社内会議での報告程度で導入が決まっています。
なお、会社の負担が0円であっても、従業員が受け取る利益をどう扱うかは制度ごとに判断が必要です。判定の手順は福利厚生は課税される?非課税の条件と0円導入の考え方で整理しています。
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まとめ:タイプ別の要点
タイプ | 優先して検討するもの | 外しやすいもの |
|---|---|---|
1. 正社員が中心 | 住宅手当、退職金・企業型DC、資格取得支援 | 世帯構成で偏る設計 |
2. 非正規が半数超 | 雇用形態を問わない制度、勤続に依存しないもの | 勤続前提・職種前提の制度 |
3. 拠点が分かれている | 勤務地に依存しないサービス | 本社に設備を置く形の制度 |
どのタイプでも、使われない月に費用が出ないことと、運用が誰かの手間にならないことは共通します。
まずは自社の従業員構成を数えるところから始めてください。正社員と非正規の比率と、勤務地の分布を把握する。この2つが分かれば、候補はかなり絞り込めます。
従業員構成が分かれば、採用で何を打ち出せるかも決まります。非正規が多い会社なら「パート・アルバイトも対象」の一言が、拠点が分かれている会社なら「勤務地を問わず使える」の一言が、求人票で効きます。
採用した方に続けて働いていただくための打ち手は、福利厚生だけでは足りません。辞める理由から逆算する考え方は離職防止に効く施策|辞める理由から逆算して考えるで扱っています。
SBC Wellnessの仕組みと導入の流れは、資料でご確認いただけます。資料をダウンロードする
出典
補足
法定外福利費は就労条件総合調査のうち労働費用に関する調査項目で、数年おきに実施されます。令和3年調査が最新の公表値です(令和6年・令和7年調査には労働費用の項目は含まれていません)
3つのタイプ分けと、タイプごとの制度の当てはまりは本記事独自の整理です
ご導入企業数、ご導入企業の傾向に関する記述は、SBC Wellnessの提供実績にもとづくものです(2026年7月時点)
クリニック数は2026年5月時点の数値です
