福利厚生規程の作り方|ひな形に沿って決める6項目
2026.10.30 公開 | 監修:添田拓海(B2B推進部グループ長 / 福利厚生アドバイザー)

健康診断の費用補助や慶弔見舞金、食事補助など、福利厚生の制度は会社が成長するにつれて少しずつ増えていきます。その一方で、制度ごとの対象者や金額が担当者の記憶や過去のメールにしか残っていない、という会社も少なくありません。
規程がないまま運用を続けていると、制度を使うたびに対象者や金額が場面ごとにぶれやすくなります。税務署から説明を求められたときや、パート・アルバイトから正社員との違いを聞かれたときに、根拠を示せないこともあるでしょう。そこで福利厚生規程が必要になる場面を確かめたうえで、ひな形の条文例と、6つの項目それぞれで何を決めればよいかを順にご説明します。
福利厚生規程が必要になる場面
労働基準法の第89条は、常時10人以上の労働者を使用する会社に就業規則の作成と届出を義務づけています。そのなかで、その事業場の労働者すべてに適用される定めをする場合は、就業規則に記載しなければならないとされています。
全従業員を対象にした福利厚生の制度は、この「すべてに適用される定め」にあたります。本体の就業規則とは別に福利厚生規程として作った場合も、就業規則の一部として扱われ、労働基準監督署への届出が必要です。食費など従業員に負担させるものがある制度も、就業規則に記載する事項として同じ条に挙げられています。
税務の面でも規程は判断の根拠になり、国税庁の質疑応答事例には、福利厚生規程にもとづいて全従業員を対象に計画した社員旅行で、参加者が38%にとどまっても給与として課税しなくてよいとされた例があります。
福利厚生規程のひな形
福利厚生規程は、条文を短くまとめ、制度ごとの細かな内容は別表に分けて書くのが扱いやすい形です。制度を追加したり金額を変えたりするたびに本文を直さずに済み、別表の差し替えだけで対応できます。
条 | 見出し | 条文例 |
|---|---|---|
第1条 | 目的 | この規程は、従業員の福利厚生に関する事項を定め、従業員の健康の保持と働きやすい職場づくりに役立てることを目的とする |
第2条 | 適用範囲 | この規程は、雇用形態にかかわらず、会社に雇用されるすべての従業員に適用する。ただし、制度ごとに別表で対象者を定める場合は、その定めによる |
第3条 | 制度の内容 | 会社が実施する福利厚生の制度とその内容は、別表のとおりとする |
第4条 | 利用の手続き | 制度を利用しようとする者は、別表に定める方法により申し出るものとする |
第5条 | 費用の負担 | 制度の利用にかかる費用の負担は、別表に定めるところによる。会社が負担する額は、別表に定める上限を超えないものとする |
第6条 | 改廃 | この規程の改廃は、従業員の過半数で組織する労働組合、これがない場合は従業員の過半数を代表する者の意見を聴いたうえで行い、所轄の労働基準監督署に届け出る |
附則 | 施行日 | この規程は、20XX年X月X日から施行する |
別表には、制度ごとに対象者と内容、手続き、費用負担を1行ずつ書いていく形をおすすめします。
制度 | 対象者 | 手続き | 費用負担 |
|---|---|---|---|
健康診断 | 全従業員 | 会社が日程と医療機関を案内する | 会社が医療機関へ直接支払う |
慶弔見舞金 | 全従業員 | 総務へ届け出る | 結婚祝金○円、出産祝金○円など、事由ごとに定めた額 |
食事補助 | 全従業員 | 給与からの控除に同意する | 本人負担は食事の価額の半分以上、会社負担は1人月7,500円(税抜)まで |
外部の優待サービス | 全従業員とその家族 | 従業員が直接サービス提供会社へ申し込む | 会社負担なし |
6つの項目で決めること
ひな形の条文はどの会社でも似た形になりますが、中身として決めるべきことは会社ごとに違います。6つの項目それぞれで、決めておきたい点を確かめていきます。
1. 目的
目的の条文は短くて構いませんが、従業員の健康や働きやすさのためという趣旨を書いておくと、規程全体の位置づけがはっきりします。従業員全体の福利のための制度だと読める書き方にしておくと、特定の人への報酬と受け取られにくくなります。
2. 対象者
福利厚生規程の項目のなかで、作ったあとに最も問題になりやすいのが対象者の範囲です。正社員だけを対象にした制度は、パートタイム・有期雇用労働法で不合理な待遇の差とされるおそれがあり、税務でも全従業員を対象にしていることが非課税の条件のひとつになっています。税務の条件は、福利厚生は課税される?非課税の条件と0円導入の考え方で詳しく取り上げました。
雇用形態で線を引くかどうかは、パート・アルバイトの福利厚生|企業が対象に含めるべき範囲と選び方で取り上げた3つの範囲に照らして判断してください。家族まで対象にする制度があれば、その範囲もここで定めておきます。
3. 制度の内容
制度の内容の欄には、制度の名前だけでなく、何をどこまで提供するのかを別表に書きます。社員旅行なら回数と期間、慶弔見舞金なら事由ごとの金額というように、運用する人が読んで迷わない程度の具体性が必要です。
4. 利用の手続き
利用の手続きでは、誰に、いつまでに、何を出せば制度を使えるのかを決めておきます。医療や健康に関わる制度では、総務を通して申し込む形にすると、従業員が利用をためらう場合があります。本人が直接サービスの提供元へ申し込める制度は、手続きの欄にそのまま書いておけば足ります。
5. 費用の負担
会社と従業員がそれぞれいくら負担するのか、会社の負担の上限はいくらかを決めます。食事補助のように税務上の基準がある制度は、基準を超えると給与として課税されるため、規程の金額を基準の範囲に合わせておく必要があります。項目ごとの基準と仕訳は、福利厚生費の勘定科目と仕訳|給与課税になる境目にまとめました。
6. 改廃
制度を増やしたり金額を変えたりするときに備えて、規程を変える手続きも決めておきます。就業規則の一部として扱われる以上、変更のたびに従業員の過半数で組織する労働組合か、過半数を代表する者の意見を聴き、届け出る流れになります。
作ったあとに必要な手続き
常時10人以上の労働者を使用する会社は、規程を作ったら意見書を添えて労働基準監督署へ届け出ます。意見書は、従業員の過半数で組織する労働組合、ない場合は過半数を代表する者から受け取るもので、同意までは求められていません。
届出とあわせて、作った規程を従業員に周知することも労働基準法の第106条で義務づけられています。社内の掲示板や共有フォルダなど、従業員がいつでも見られる場所に置いておくと、制度の利用にもつながりやすくなります。
SBC Wellnessの場合
私たちがご提供している「SBC Wellness」は、導入費用も月額費用もかからず、企業様は完全無料でご利用いただける福利厚生です。別表に書くなら、費用負担の欄は「会社負担なし」、手続きの欄は「従業員が直接申し込む」となります。
従業員の皆さまは美容医療・審美歯科・生殖医療・近視治療・薄毛治療などの対象施術を、いつでも10%OFFの優待価格で利用でき、施術の費用はご本人のお支払いです。予約や相談は従業員の皆さまと専任のコンシェルジュが直接行うので、どの従業員が何を利用したかを企業様が管理する必要はありません。対象は正社員のほか契約社員やアルバイトなどさまざまな雇用形態の方で、2親等以内のご家族も同じ優待を利用できます。
まとめ
全従業員を対象にした福利厚生の制度は、労働基準法の上では就業規則に記載する事項にあたり、常時10人以上の会社なら届出が必要です。規程は目的・対象者・制度の内容・利用の手続き・費用の負担・改廃の6項目で組み立て、制度ごとの細かな内容は別表に分けておくと運用しやすくなります。
いま運用している制度を別表の形で書き出してみると、対象者や金額が決まっていない制度が見つかるはずです。そこを埋めるところから規程づくりを始めてください。
SBC Wellnessの仕組みと導入の流れは、資料でご確認いただけます。資料をダウンロードする
出典
補足
ひな形の条文例と別表は、本記事で作成した一例です。実際の規程は、自社の制度と就業規則の構成に合わせて調整してください
6つの項目の分け方は、本記事独自の整理です
SBC Wellnessの提供内容・条件は2026年10月時点のものです
